今日のお弁当

税法のお話(扶養控除)

 

告白しますと、実はわたくし、税金に関わる仕事をしています。 えっ?ご存知! なんでばれてんだろう?

ってバカなお話はいらない(汗)。 たまにはまじめに税金のお話でも書いてみようかな、と思います。 ただしホームページの表の欄は私の仕事の同志がまじめに記事をあげている神聖な場所なので書きづらい(笑)。 じゃまにならないようこちらの私に与えられたスペース、ブログに書きます。

今は丁度確定申告の時期ですから、今日は所得税の所得控除のなかのひとつ「扶養控除」の勘違いしそうなものについて事例を一つあげてみます。 税法に関係ない方、興味のない方には面白くもなんともないお話ですので読まないでください(笑)。 少しでも関りがある方限定です。 それでは始めます。

納税者甲さんは妻乙さんと10歳の子供丙さん、さらに育ての親である亡父の後妻いわゆる継母Aさんと同居しています。養子縁組はしていません。 また近所に義父(妻の実父)Bさんと義母(妻の実母)Cさんが一緒に住んでいます。

AさんBさんCさんはみな70歳以上。 収入は年金のみ。 それぞれ金額は少額で、全員控除対象扶養親族の所得要件を充たしています。 子供丙さんは普通障害者、義父Bさんは特別障害者である、とします。

さらにこのご家族の家計は妻乙さんが一手に預り、ご主人甲さんの給料等、ABCさんの年金のすべてをやりくりして、みんな甲さんの家でご飯を食べていたとします。この時点でみな「生計一」であることに問題はありません。

それで甲さんは所得税の申告にあたって、甲さん本人には基礎控除38万円、乙さんについて配偶者控除38万円を計上し、その他の扶養控除については次のように計算しました。

①子丙さんについては年少扶養親族だから0円。

②継母Aさんは同居老親等で58万円。

③義父Bさんについては同居していないので障害者控除(特別)40万円、老人扶養10万円をたして88万円。

④義母Cは老人扶養親族10万円をたして48万円。

さて、どこが間違っているでしょうか?っていうお話なんですけど①②③が間違い、④だけ合っています。

まず①ですが所得税法79条ではこう規定されています。

▽居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その障害者一人につき二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。

ここには「扶養親族」と書かれていて「控除対象扶養親族」とは書かれていません。となれば年少扶養親族である丙さんもOKということになります。

次に②、同居老親等については租税特別措置法41条16でこう規定されています。

▽ 居住者の有する所得税法第二条第一項第三十四号の四に規定する老人扶養親族が当該居住者又は当該居住者の配偶者の直系尊属で、かつ、当該居住者又は当該配偶者のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、当該老人扶養親族に係る同法第八十四条第二項に規定する扶養控除の額は、同条第一項の規定にかかわらず、同項の金額に十万円を加算した額とする。

Aさんについてはこう考えます。 甲さんとAさんは血縁関係はありませんが甲さんの亡父の妻であることから一親等の姻族に該当します。 ですから扶養親族でありさらに70歳以上で老人扶養親族になります。 ですが、同居老親等については措法41条16で甲か乙かの直系尊属であることを要件としていますから、一親等でも直系尊属でないからダメ。 養子縁組をしていないAは老人扶養親族ではありますが、同居老親等には該当しません。

さらに③。 同居特別障害者については所得税法79条でこう規定されています。

▽居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で、かつ、その居住者又はその居住者の配偶者若しくはその居住者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、前項の規定にかかわらず、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その特別障害者一人につき七十五万円を控除する。

ここ専門家でもよく間違えるところです。よく読んでみると、生計を一にする親族の誰でもいいから同居してればいい、と書いてあります。 Bさんは甲さんとは同居していませんが、甲さんと生計一の親族Cさんと同居しているからOKとなります。

ということで、正解を書きます。

甲さん基礎控除38万円、乙さん配偶者控除38万円、Cさん老人扶養親族48万円は変わりません。

① 子丙さん、扶養控除はつきませんが障害者控除(一般)の27万円はOKです。

② 継母Aさん、 同居老親等には該当しません。 老人扶養親族のみで48万円。

③ 義父Bさん、甲さんとは同居していませんが甲さんの同一生計親族であるCさんと同居していることから同居特別障害者に該当し48万円と75万円の合計額がカウントされます。

わたし達もときどき確認しないと忘れてしまいそうな細かい部分です。 参考になったという方がいらっしゃったら幸いです。

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以上までの記事は2月19日にアップいたしましたが、今朝スマホで読んでいると記事に大きな矛盾があることに気が付きました(驚)!

当初の登場人物の設定では、継母(実父の後妻)A、実父B、実母Cとしていましたが、そんなことはあり得ない! 今回設定を継母A、義父B、義母Cに変更いたしました。 本文はすでに変更済になっております。考え方や金額の変更はありません。 ただBは亡くなっているのか、生きているのか、当初の設定では矛盾が生じてしまう、という点だけです。

ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。 自分で事例を考えるのは難しいですね(汗)。

訂正は2月22日に行いました。

 

 

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