
2025年4月から、育児と仕事の両立の支援として、「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の2つの新たな給付金制度がスタートします。
これまでの育児休業等給付金に加え、共働き家庭や時短勤務者を経済的にサポートする新たな取り組みです。
育児休業取得のハードルを下げ、柔軟な働き方を支援するこれらの給付金制度について、詳しく解説します。
育児休業等給付の概要

育児休業等給付とは、子の年齢や養育の状況に応じて、要件を満たす場合に支給される給付金の総称です。
育児休業等給付には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の4つがあります。出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金は、2025年4月1日から創設される給付金です。
出生時育児休業給付金
雇用保険の被保険者の方が、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休(出生時育児休業・2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「出生時育児休業給付金」の支給を受けることができます。
育児休業給付金
原則1歳(注)未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」の支給を受けることができます。
出生後休業支援給付金【2025年4月創設】
2025年4月1日から「出生時育児休業給付金」または「育児休業給付金」の支給を受ける方が、両親ともに一定期間内に通算して14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得し一定の要件を満たすと「出生後休業支援給付金」の支給を受けることができます。
育児時短就業給付金【2025年4月創設】
2025年4月1日から、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」の支給を受けることができます。
各制度の比較
新制度は、既存制度ではカバーしきれなかった育児と仕事の両立をさらに支援し、より柔軟で経済的に安定した環境を提供する点で大きなメリットがあります。
給付金名 | 支給期間 | 支給額 | 主な目的 |
育児休業給付金 | 原則1歳未満(最大2歳まで延長可能) | 賃金の67%(180日目以降は50%) | 育児休業中の収入補填 |
出生時育児休業給付金 | 子の出生後8週間以内(最大28日間) | 賃金の67% | 短期間の育児休業取得支援 |
出生後休業支援給付金 | 子の出生後8週間以内(最大28日間) | 賃金日額×13% | 両親による育児休業取得促進 |
育児時短就業給付金 | 子が2歳になるまで | 時短勤務中賃金額×10% | 時短勤務による収入減少補填と柔軟な働き方支援 |
2025年4月創設 出生後休業支援給付金

出生後休業支援給付金は、子どもの出生直後(8週間以内)の一定期間に両親が育児休業を取得した場合に支給される給付金で、既存の育児休業給付金や出生時育児休業給付金に上乗せして支給されます。
これにより、共働き家庭でも経済的負担を抑えながら育児に専念できる環境を整えます。
出生後休業支援給付金のメリット
- 育児休業給付金と併用することで、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)が受け取れるため、収入減少への不安が軽減されます。
- 主な生計者が育児休業を取得しやすくなり、企業側も従業員の離職防止や満足度向上を期待できます。
支給要件
出生後休業支援給付金を受け取るためには、以下の要件を満たす必要があります。
本人が休業を取得している場合
- 被保険者本人が、同じ子について以下のいずれかの休業を通算14日以上取得していること。
- 出生時育児休業給付金が支給される「産後パパ育休」
- 育児休業給付金が支給される「育児休業」
- 出生時育児休業給付金が支給される「産後パパ育休」
配偶者が休業を取得している場合
- 被保険者の配偶者が、次の期間のうち通算14日以上の育児休業を取得していること。
- 「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から、「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
- 「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から、「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
- または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業が不要な場合」に該当していること。
出生後休業支援給付金を受け取る際、原則として「配偶者が育児休業を取得していること」が要件となりますが、以下の条件を満たす場合は配偶者の育児休業が不要となります。
- 配偶者がいない
- 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
- 被保険者が配偶者から暴力を受けて別居中
- 配偶者が無職
- 配偶者が自営業者やフリーランスなど、雇用される労働者でない
- 配偶者が産後休業中
- 上記以外の理由で配偶者が育児休業を取得できない場合
- 日々雇用される者で育児休業を取得できない場合や、育児休業を取得しても給付金が支給されない場合が該当します。
- 単に業務の都合で育児休業を取らない場合は含まれません。
支給額
支給額は以下の計算式で求められます。
休業開始時賃金日額 × 休業期間(日数) × 13%
例えば、賃金日額が10,000円で28日間休業した場合: 10,000 × 28 × 0.13 = 36,400円
「休業開始時賃金日額」とは、育児休業開始前の直近6か月間の賃金総額を180で割った金額を指します。支給日数は、14日以上28日までが上限となります。
2025年4月創設 育児時短休業給付金

育児時短休業給付金は、2歳未満の子どもを養育するために短時間勤務(時短勤務)を選択した場合に支給される給付金で、時短勤務による収入減を補填する役割があります。
育児時短休業給付金のメリット
- 時短勤務中の賃金額の10%が支給されるため、経済的負担が軽減され、柔軟な働き方が可能になります。
- 男性従業員の利用促進や早期職場復帰が容易になることで、キャリア形成への支障が緩和されます。
- 復職後の離職防止や人手不足解消につながり、企業側にもプラス効果があります。
支給要件
育児時短就業給付金は、以下の2つの「受給資格」の条件をすべて満たす方が、育児時短就業中にさらに「各月の支給要件」の4つをすべて満たす月について支給されます。
受給資格
- 2歳未満の子を養育するために、労働時間を短縮して働く被保険者であること
- 「被保険者」とは、雇用保険の一般被保険者および高年齢被保険者を指します。
- 「被保険者」とは、雇用保険の一般被保険者および高年齢被保険者を指します。
- 育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと
- 育児休業終了の翌日(復職日)または14日以内に育児時短就業を開始した場合を含みます。
- 過去2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある、または賃金支払いの基礎時間が80時間以上ある月が12か月以上あること。
- やむを得ない理由(疾病、負傷、出産、育児など)で30日以上賃金が支払われなかった期間がある場合、その期間を2年に加算できます(最長4年間)。
- 育児休業終了の翌日(復職日)または14日以内に育児時短就業を開始した場合を含みます。
各月の支給要件
- 初日から末日まで続けて被保険者である月
- 1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
- 育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
- 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
これらの要件をすべて満たす場合に、育児時短就業給付金が支給されます。
支給対象となる時短就業(育児時短就業)
育児時短就業給付金の支給対象となる時短就業(育児時短就業)は、2歳未満の子を養育するために、被保険者からの申出に基づき、事業主が講じた1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置を指します。
- 所定労働時間の短縮方法
- 1週間当たりの所定労働日数を変更することにより、所定労働時間が短縮される場合も含む。
- 短縮後の1週間当たりの所定労働時間に上限・下限はない。
- 育児・介護休業法に基づく短縮措置(1日の労働時間を6時間とする措置など)に限らず、2歳未満の子を養育するために短縮した場合は対象となる。
- 1週間当たりの所定労働日数を変更することにより、所定労働時間が短縮される場合も含む。
- 短時間正社員やパートタイム労働者の場合
- 被保険者が育児のために短時間正社員やパートタイム労働者へ転換・転職し、1週間当たりの所定労働時間が短縮された場合も育児時短就業と見なす。
- 被保険者が育児のために短時間正社員やパートタイム労働者へ転換・転職し、1週間当たりの所定労働時間が短縮された場合も育児時短就業と見なす。
- 労働時間が20時間未満の場合の注意点
- 短縮後の1週間当たりの所定労働時間が20時間を下回ると、原則として雇用保険の被保険者資格を喪失し、給付金の対象外となる。
- ただし、小学校就学の始期までに週20時間以上の労働条件に復帰することが就業規則などで確認できる場合は、対象となる。
- 短縮後の1週間当たりの所定労働時間が20時間を下回ると、原則として雇用保険の被保険者資格を喪失し、給付金の対象外となる。
支給額
育児時短就業給付金の支給額の計算方法は以下のとおりです。
- 賃金額が90%以下の場合
支給対象月に支払われた賃金額が「育児時短就業開始時賃金月額」の90%以下の場合、
支給額 = 支給対象月の賃金額 × 10% - 賃金額が90%超~100%未満の場合
支給対象月に支払われた賃金額が「育児時短就業開始時賃金月額」の90%を超え、100%未満の場合、
支給額 = 支給対象月の賃金額 × 調整後の支給率 - 支給額が支給限度額を超える場合
上記1または2の方法で計算した支給額と、支給対象月に支払われた賃金額の合計が「支給限度額」を超える場合、
支給額 = 支給限度額 - 支給対象月の賃金額
まとめ
2025年4月から、育児と仕事の両立を支援するために「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」が新設されます。
出生後休業支援給付金は、子どもの出生後8週間以内に両親が一定期間育児休業を取得した場合に支給されるもので、既存の給付金に上乗せして受け取れるため、特に共働き家庭の経済的負担を軽減します。
育児時短就業給付金は、2歳未満の子どもを育てるために短時間勤務を選択した場合に支給され、時短勤務による収入減を補填する目的があります。
これらの新制度により、育児を支援するための柔軟な働き方がより促進され、特に男性の育児参加や早期職場復帰が容易になります。企業側にも、従業員の離職防止や職場復帰支援というメリットがあり、少子化対策や働き方改革を後押しする効果が期待されています。