
令和7年分の年末調整から、住宅ローン控除は「調書方式」が導入されました。
これにより、金融機関から提出される情報をもとに、勤務先の年末調整で住宅ローン控除が反映される仕組みが整っています。
そのため、「もう確定申告は一切不要になった」と思われがちですが、実際には調書方式であっても確定申告が必要になるケースは少なくありません。
特に令和7年分は制度変更直後ということもあり、判断を誤ると控除を受け損ねてしまう可能性があります。
本記事では、調書方式でも確定申告が必要になる具体的なケースを、令和7年分に絞って分かりやすく解説します。
住宅ローン控除の「調書方式」とは【令和7年の改正概要】
従来の住宅ローン控除との違い
従来の住宅ローン控除では、金融機関から送付される「住宅借入金等年末残高証明書」を、年末調整や確定申告の際に提出する必要がありました。
令和7年分から導入された調書方式では、この残高情報が金融機関から税務署を経由して勤務先へ提供されるため、原則として書類提出が不要になります。
国税庁:住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について
調書方式の仕組みと対象者
調書方式の対象となるのは、主に以下のような人です。
- 給与所得者で年末調整を受けている
- 住宅ローン控除の2年目以降
- 金融機関が調書提出に対応している
すべての人が自動的に対象になるわけではない点には注意が必要です。
調書方式のメリットと注意点
メリットは、手続きの簡素化です。
一方で、調書に反映されない事情がある場合は、年末調整だけでは不十分となり、確定申告が必要になります。
原則|調書方式なら年末調整で完結するケース
給与所得のみで年末調整を受けている人
以下の条件をすべて満たす場合、原則として確定申告は不要です。
- 勤務先で年末調整を受けている
- 給与以外の所得がない
- 住宅ローン控除が調書方式で正しく反映されている
住宅ローン控除に特別な事情がない場合
借入内容や居住形態に特別な事情がなく、控除額も問題なく引ききれている場合は、年末調整で完結します。
ただし、次の章で説明するケースに該当する場合は例外となります。
【重要】調書方式でも確定申告が必要になるケース【令和7年】
住宅ローン控除の初年度に該当する人
住宅ローン控除は、入居した初年度のみ確定申告が必要です。
これは調書方式が導入された後も変わっていません。
令和7年中に入居した人は、年末調整ではなく確定申告で住宅ローン控除を申請する必要があります。
年の途中で転職・退職した人
年末調整を受けていない場合、住宅ローン控除を含めた精算は確定申告で行います。
年の途中で転職したものの、新しい勤務先で年末調整を受けていない場合も同様です。
副業や不動産収入など給与以外の所得がある人
副業収入や不動産収入があり、確定申告が必要な人は、住宅ローン控除もあわせて申告することになります。
調書方式で情報が提供されていても、申告手続き自体は省略できません。
住宅ローン控除額が年末調整で引ききれない人
住宅ローン控除額が大きく、所得税から控除しきれない場合、住民税控除の調整が必要になります。
この調整が年末調整で正しく行われていない場合、確定申告が必要になることがあります。
年末調整の内容に誤りや控除漏れがある場合
扶養状況や所得の申告に誤りがあると、住宅ローン控除が正しく反映されません。
調書方式であっても、年末調整の内容が間違っていれば修正は確定申告で行う必要があります。
共働き・ペアローン・連帯債務のケース
ペアローンや連帯債務の場合、持分割合や借入割合の調整が必要です。
調書方式ではこの部分が正確に反映されないことがあり、確定申告が必要になるケースが多く見られます。
住宅ローン控除の適用を受けるための具体的な手続き【調書方式対応】
住宅ローン控除を受けるためには、借入先の金融機関が「調書方式」に移行しているかどうかによって、手続きの流れが異なります。
以下では、それぞれの場合について具体的に解説します。
国税庁 住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)に関するよくある質問
借入先の金融機関等が「調書方式」に移行している場合の手続き
金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を提出する
調書方式に移行している金融機関から住宅ローンを借りている場合、
住宅ローン控除の適用を受けるためには、金融機関に対して「住宅ローン控除の適用申請書」を提出する必要があります。
この申請により、年末残高などの情報が税務当局へ連携されます。
年末残高情報はマイナポータル等を通じて通知される
調書方式では、従来のような「年末残高証明書」は原則不要となります。
住宅ローンの年末残高情報は、税務当局からマイナポータル等を通じて納税者本人に通知され、その情報を基に確定申告や年末調整を行う仕組みです。
マイナポータル連携を使えば自動入力が可能
マイナポータルを利用すると、
- 年末残高情報の取得
- 確定申告書への自動入力
が可能となり、入力ミスや手間を大きく減らすことができます。
そのため、マイナンバーカードをまだ取得していない方は、取得を検討する価値が高いといえます。
マイナポータルが利用できない場合の対応
マイナンバーカードを持っていないなどの理由で、マイナポータルを利用できない場合は、
- 金融機関から交付される返済計画表
- お手元のローン関連書類
をもとに、ご自身で年末残高を確認し、確定申告書に入力・記入する必要があります。
調書方式による手続きの対象となる確定申告時期
調書方式を利用した住宅ローン控除の確定申告は、
- 令和6年1月以降に住宅に居住を開始した方が対象
- 令和7年1月以降の確定申告期間で行う手続き
となります。
なお、マイナポータル連携を利用する場合は、事前準備が必要です。
準備の詳細については、国税庁ホームページ「e-Taxからの情報取得について」で確認する必要があります。
借入先の金融機関等が「調書方式」に移行していない場合の手続き
住宅に居住した時期が令和6年1月以降であっても、
借入先の金融機関がまだ調書方式に移行していない場合は注意が必要です。
この場合は、従来どおり、
- 金融機関から「住宅ローン年末残高証明書」の交付を受け
- 確定申告書に添付または提示
する必要があります。
「調書方式が始まったから証明書は不要」と思い込むと、
住宅ローン控除が適用されない可能性がありますので、必ず借入先金融機関の対応状況を確認しましょう。
まとめ|住宅ローン控除は「方式の確認」と「申告要否の判断」がカギ
まずは手続方式を正しく把握する
住宅ローン控除の手続きは、金融機関ごとに調書方式か従来方式かが異なります。調書方式が導入されている場合でも、申請書の提出自体は必要であり、完全に手続きが不要になるわけではありません。
また、マイナポータル連携を活用すれば申告手続きは大幅に簡素化されますが、未対応の金融機関では従来どおりの対応が求められます。まずは自分がどの方式に該当するのかを確認することが重要です。
確定申告が必要かどうかをセルフチェック
次のようなケースに当てはまる場合は、確定申告が必要となる可能性が高いといえます。
- 住宅ローン控除の初年度である
- 年末調整を受けていない
- 副業収入がある
- 控除額が大きい
- ペアローンや連帯債務を組んでいる
一つでも該当する場合は、「年末調整だけで完結する」と思い込まず、申告の要否を確認しましょう。
申告漏れによるリスクを防ぐために
確定申告が必要にもかかわらず行わなかった場合、住宅ローン控除が適用されず、本来受けられる還付を逃してしまう可能性があります。後から修正申告を行うこともできますが、手続きは煩雑になり、還付までに時間がかかることもあります。
調書方式の導入により手続きは簡素化されていますが、すべての人が申告不要になるわけではありません。確実に控除を受けられるよう準備しておくことが大切です。