Contents 事業承継

事業承継8

【事業承継の計画】
[経営計画の策定]

前回からお伝えしている【事業承継の計画】ですが、
今回はその中の[経営計画の策定]です。

事業承継において重大なリスクの一つに
「経営権の分散リスク」があります。
どんなに素晴らしい事業でも、後継者が優秀でも
経営権が分散しては、事業そのものが立ち行かなくなります。

経営権を安定させるためには、
後継者に自社株を集中させる方が望ましいですが、
遺産分割協議や遺留分の減殺請求の如何によっては、
株の保有者が分散してしまうこともあります。

そこで、経営権を安定させるために、
事前に対策が必要となってきます。

事前対策の方法としては以下のような手法が考えられます。

1.遺言を作成する
例えば、自社株や事業資産は後継者、
他の相続人には、事業に関係ない資産や現預金というように
現経営者が、明確な意思として遺言を残しておくのは非常に有効です。
*遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言などの方式があり、
定められた形式を備えていない場合は、法的に無効となるので注意が必要です。

2.自社株の生前贈与
事業承継における自社株の贈与には、
経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法の特例が設けられています。
これは後継者を含めた推定相続人全員の合意の上で、
一定の要件のもとに後継者に贈与された自社株を
遺留分の算定基礎となる相続財産から除外するなどの取り決めが可能です。

3.種類株式の発行
現在の会社法では、様々な種類株式が発行可能となっています。
それを利用し、後継者には普通株式を、
他の相続人には、無議決権株式を相続させることで、
「議決権の分散リスク」の低減を図ることができます。

_______________________________

■文責 井手昭仁

■免責
本記事の内容は、投稿時点での税法、会計基準会社法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上、実行して下さい。
本情報の利用により損害が発生することがあっても、筆者及び当事務所は一切責任を負いかねますのでご了承下さい。

-Contents, 事業承継