確定申告は提出期限がありますが、忘れていたり、何らかの事情で提出できなかったという人もいるでしょう。
その場合、期限後申告という方法があります。
期限後申告は、提出期限こそ遅れますが、手続きは通常の確定申告と同じです。
ただし、無申告加算税や延滞税、青色申告特別控除が適用できないなどのペナルティもあるため注意が必要です。
この記事では、確定申告を期限内に提出できなかった場合の期限後申告について解説しました。
確定申告義務がなく、所得税の還付を受ける還付申告についても言及しています。
どうぞ最後までご一読ください。
確定申告書を期限内に提出できなかったとき
確定申告書を期限内に提出できなかった場合、期限を過ぎても申告書の提出は受け付けてもらえます。
期限後申告
法定申告期限後に確定申告書を提出することを期限後申告といいます。
例えば令和5年分所得税の確定申告は、申告期限が令和6年3月15日(金)でした。この日以降に確定申告書を提出する場合、期限後申告として取り扱われます。
期限後申告の手続き
期限後申告の場合の手続きは、通常の確定申告と変わりません。
使用する申告書も提出方法も、期限内に申告する場合と同じ方法で行います。
期限後申告の注意点
期限後申告では、期限内申告と違って、以下のペナルティが課される場合があります。
- 無申告加算税が課される場合がある
- 延滞税が課される場合がある
- 青色申告特別控除が適用されない
所得や税額がある場合には注意が必要です。
無申告加算税が課される場合がある
無申告加算税とは、期限内に申告しなかった場合に課される税金です。
無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には軽減されます。
ポイント
期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていて、以下の要件をすべて満たす場合、無申告加算税は適用されません。
- 期限後申告に係る納付すべき税額を法定納期限までに納付していること
- 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがないこと
延滞税が課される場合がある
延滞税とは、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する税金です。期限後申告で、税額が発生する場合、延滞税が自動的に課されます。
延滞税の計算方法
納税期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで
原則7.3%と延滞税特例基準割合 + 1%のいずれか低い割合
納税期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降
原則14.6%と延滞税特例基準割合 + 7.3%のいずれか低い割合
青色申告特別控除の65万円・55万円が適用されない
青色申告は、要件を満たす場合、所得から一定額を控除する青色申告特別控除という特典があります。要件に応じて65万円・55万円・10万円と控除額が区分されます。
このうち、65万円控除と55万円控除は期限内に確定申告書を提出することが要件になっているため、期限後申告では適用されません。
還付申告の場合
確定申告の義務がない人で、給与などから源泉徴収された所得税や予定納税額が、年間の所得金額に対する計算上の所得税よりも多い場合、納めすぎた所得税を返金してもらうことができます。これを還付申告といいます。
還付申告書は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
注意
還付申告の場合でも、青色申告特別控除(55万円、65万円)を受ける場合、法定の申告期限(通常は翌年3月15日)までに確定申告書を提出する必要があります。
まとめ
期限内に確定申告書を提出できなかった場合、期限を過ぎても申告書の提出は受け付けてもらえます。
この場合、期限後申告と呼ばれ、手続きは通常の確定申告と同じですが、ペナルティがあるため、注意が必要です。
期限後申告の際には、無申告加算税や延滞税が課される可能性があり、青色申告特別控除が適用されないこともあります。
また、還付申告の場合でも、青色申告特別控除を受けるためには、法定の申告期限内に確定申告書を提出する必要があります。
本記事の内容は、投稿時点での税法、会計基準会社法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
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