Contents

決算賞与を支給するときの注意点

 決算時に利益が多額である場合に、決算賞与の支給を検討している企業も多いのではないでしょうか?

決算賞与は、未払計上でも下記の3要件を満たせば、損金とできるので、決算月中に支給決定も可能です。

【要件】

①その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。

②①の通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。

③その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

No.5350 使用人賞与の損金算入時期

 

ただし、これには注意点があります。

法人税基本通達9-2-43では、

法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第72条の3第2号イの支給額の通知には該当しないことに留意する。

と記載されています。

この規定を法人税法基本通達逐条解説より引用すると

「使用人に支給額の通知を行ったとしても支給日までに退職した者に対しては賞与を支給しなかったケースはもちろんのこと、 結果的に退職者がいなかったため通知した金額を全額支給したケースについても、 当該通知した支給額について退職した場合には賞与を支給しないこととしていたときには、 当該未払賞与について損金の額に算入することはできないのである。」

とあります。

特に注意が必要なのは下線部分で、 ”退職した場合には賞与を支給しないこととしていたとき”とは 就業規則などで「賞与は支給日に在職する従業員のみに支給する」としている場合を指しています。 つまり、就業規則に賞与は支給日に在職する従業員にのみ支給する旨の記載があると、 【要件】①を満たさず、賞与全額が否認されてしまいます。

決算賞与の支給に際しては 、就業規則に上記のような文言がないか確認しましょう。

■文責 井手昭仁 

■免責
本記事の内容は、投稿時点での税法、会計基準会社法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上、実行して下さい。
本情報の利用により損害が発生することがあっても、筆者及び当事務所は一切責任を負いかねますのでご了承下さい。

-Contents