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国税庁 平成29年度再調査・審査請求、訴訟の概要を公表

前回に続き、今回は国税庁より発表された「平成29年度における再調査の概要」「平成29年度における審査請求の概要」「平成29年度における訴訟の概要」について掲載したいと思います。

「平成29年度における再調査の概要」

国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、
税務署長などに対する再調査の請求や、国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度があります。

このうち、「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、
その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続です。

平成29年度における再調査の請求の発生件数は1,814件であり、
前年度と比べ8.4%の増加となっています。

平成29年度における再調査の請求の処理件数は1,726件となっています。
処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は213件(一部認容173件、全部認容40件)で
その割合は12.3%(一部認容10.0%、全部認容2.3%)となっています。

出典:国税庁 平成29年度における再調査の請求の概要

 

「平成29年度における審査請求の概要」

審査請求は、税務署長や国税局長などが行った処分に不服がある場合に、その処分の取消しや変更を求めて、国税不服審判所長などに対して不服を申し立てる制度です。

国税不服審判所長に対する審査請求は、再調査の請求(改正前:異議申立て)を経ずに直接行うことができます。
また、再調査の請求を行った場合であっても、再調査の請求についての決定(再調査決定)後の処分になお不服がある場合に行うことができます。

平成29年度における審査請求の件数は、申告所得税、相続税・贈与税及び消費税等の税目に係る件数が増加したことに伴い、前年度と比べ18.7%の増加となっています。

平成29年度の審査請求の処理件数は、2,475件で前年度と比べ26.3%の増加となっています。
処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は202件(一部認容148件、全部認容54件)で、
その割合は8.2%(一部認容6.0%、全部認容2.2%)であり、前年度と比べ4.1ポイントの減少となっています。

出典:国税庁 平成29年度における審査請求の概要

「平成29年度における訴訟の概要」

国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、
処分庁に対する再調査の請求及び国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と
裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度があります。

納税者は、上記の行政上の不服申立てを経た後、なお不服があるときは、裁判所に対して「訴訟」を提起することができます。

平成29年度における訴訟の発生件数は199件であり、前年度と比べ13.5%の減少となっています。
平成29年度における訴訟の終結件数は、210件となっています。
このうち、国側が敗訴したものは21件(一部敗訴10件、全部敗訴11件)で、
その割合は10.0%(一部敗訴4.8%、全部敗訴5.2%)となっています。

出典:国税庁 平成29年度における審査請求の概要

 

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■文責 井手昭仁

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