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還付申告


確定申告は申告書の提出期限が2月16日から3月15日までと期限が定められています。
ただ、給与所得者で所得税の還付を受ける場合には、この期限にかかわらず、確定申告書を提出して、所得税の還付を受けることができます。
これを還付申告といいます。

還付申告ができる期間

還付申告書は、その還付の対象となる年分の翌年1月1日から5年間提出することができます。
例えば、平成30年分の還付申告は、平成31年1月1日から平成35年12月31日の間に提出することができます。

還付申告を受けることができる人

還付申告は、1年間の所得を精算した際に納めた所得税が多い場合に、その所得税が還付される制度です。そのため、給与等から源泉徴収された所得税がある給与所得者等が該当します。対象となるケースは以下のような場合です。

年の途中で、退職し年末調整をしていない場合

給与所得者は給与から所得税が源泉徴収されています。正確な所得税の金額は、年末調整で確定しますので、年の途中で退職し、年末調整していない場合には、源泉徴収税額が多くなっているケースもあります。

マイホームなどを取得して住宅ローンがあるとき

個人が住宅ローン等を利用してマイホームを取得した場合、一定の要件を満たせば、住宅ローンの年末残高をもとに計算した金額を  居住年分以後の各年分の所得税から控除することができます。

マイホームに特定の改修工事をしたとき

個人が住宅ローン等を利用してバリアフリー改修工事や省エネ改修工事した場合、一定の要件を満たせば、住宅ローンの年末残高をもとに計算した金額を  居住年分以後の各年分の所得税から控除することができます。

災害や盗難などで資産に損害を受けたとき

納税者又は、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者が災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

【雑損控除】

次の二つのうちいずれか多い方の金額です。

(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

特定支出控除の適用を受けるとき

給与所得者が、①通常要する通勤のための支出である「通勤費」、②転勤に伴う「転居費」、③職務に直接必要な「研修費」、④職務に直接必要な「資格取得費」、⑤単身赴任での「帰宅旅費」、⑥その他職務に直接必要な勤務必要経費としての「図書費」、「衣服費」、「交際費」で、給与の支払者が証明した場合には、その年中の給与所得控除額の1/2を超える場合には、その超える部分の金額を所得金額から差し引くことができます。

*なお、⑥については、その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。

多額の医療費を支出したとき

その年の1月1日から12月31日までに納税者本人と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

【医療費控除】

支払った医療費の額-保険金で補てんされる金額-10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)

特定の寄付をしたとき

納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。

【寄附金控除】

次のいずれか低い金額-2千円

イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

還付申告の注意事項

すでに還付申告をしていて、その還付を受ける金額を少なく申告してしまった場合には、「更正の請求」という手続きが必要になります。この更正の請求には期限がありますが、時期により期限が違いますので注意が必要です。

平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来するもの

法定申告期限から5年

平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来するもの

法定申告期限から1年

この法定申告期限の相違は、「所得税法等の一部を改正する法律」が平成23年12月2日に公布されたことに起因しています。

更正の請求期限の延長等について

 


■文責 井手昭仁

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