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【事業承継の計画】
[財務計画の策定]

前々回からお伝えしている【事業承継の計画】ですが、
今回はその中の[財務計画の策定]です。

事業承継には、お金がかかります。
自社株式や事業用資産を後継者に移すための贈与税の負担、
事業承継後の安定した経営のための運転資金が必要な場合もあります。

その一方で、経営者が交代した場合、
金融に関わる信用の低下が懸念される事象が生じます。

例えば、
金融機関における後継者の融資実績の評価は、現経営者よりも低下します。
また、取引先から支払い条件の見直しを求められるかもしれません。

事業承継のために資金は必要なのに、
資金繰りに関して取り巻く環境は厳しくなることが想定されます。

そのため、現経営者が在籍している段階で、
しっかりとした財務計画を策定し、
金融機関等との間で事業承継に伴う資金ニーズに協力を要請することも重要です。

財務計画は以下の流れに沿って策定します。

1.現経営者の役員退職金の支払時期、支払額を決める。
(役員退職金の金額が株価に影響を及ぼすのでこれを最初に行います)
2.自社株、事業用資産の評価を行う。
3.自社株、事業用資産を後継者に
「譲渡する場合」には売買価格を算定する。
「贈与する場合」には自社株の納税猶予制度の適用が可能か判定する、また贈与税の額を算定する。
4.事業承継後の事業計画を基に運転資金を算定する。
5.ここまでで、融資が必要となる場合には、
融資を受ける金額の算出と返済計画を策定する。

財務計画ができあがり、融資が必要となった場合、
取引金融機関に融資を申請しますが、
事業承継における融資には、
都道府県知事の認定により受けられる
「経営承継円滑化法に基づく金融支援」という制度があります。

この制度については、
次回【事業承継の実行】[資金調達]の回でお伝えします。

 

■文責 井手昭仁

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