平成28年税制改正は、大きな改正項目はなく、概要は以下のとおりとなっています。
Ⅰ個人所得課税
(1)住宅土地税制
1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設
2.住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設
3.特定の居住用財産の買換え等の特例の延長
(2)金融・証券税制
1.NISA制度の手続きの簡素化
2.告知等に係るマイナンバーの記載省略
(3)租税特別措置等
1.医療費控除の特例の創設
2.公益法人等に寄附した場合の税額控除制度の拡充
(4)その他
1.非課税所得の見直し
2.所得控除に係る添付書類の電子交付の導入
3.国外転出時課税の見直し
4.各種申告書に係るマイナンバーの記載省略
Ⅱ資産課税
(1)農地保有に係る課税の強化・軽減
1.農地保有に係る課税の強化
2.農地保有に係る課税の軽減
(2)租税特別措置等
1.農地に係る相続税・贈与税の納税猶予の確定事由の見直し
2.結婚・子育て資金の一括贈与に係る資金の範囲の明確化
3.贈与税の配偶者控除の添付書類の変更
4.中小企業者等が取得した機械及び装置に対する固定資産税の軽減
Ⅲ法人課税
(1)成長志向の法人税改革
1.法人税の税率の引下げ
2.生産性向上設備投資促進税制の廃止
3.減価償却制度の見直し
4.欠損金の繰越控除制度等の見直し
5.法人事業税の税率の引下げと外形標準課税の拡大
(2)地方法人課税の偏在是正
1.法人住民税法人税割の税率の改正
2.地方法人税の税率の改正
3.地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の廃止
4.法人事業税交付金の創設
5.その他
(3)その他の地方創生の推進・特区に係る税制上の支援措置
1.地方創生支援税制(企業版ふるさと納税)の創設
2.国家戦略特別区域における指定法人の所得の特別控除制度の創設
(4)その他の租税特別措置等
1.交際費等の損金不算入制度の延長
2.中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻還付制度の不適用の延長
3.環境関連投資促進税制の延長等
4.国際戦略総合特区税制の見直し
5.雇用促進税制の見直し
6.中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の延長等
7.支給する役員給与の柔軟化
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そのうち、今回は
Ⅲ法人課税 (1)成長志向の法人税改革 1.法人税の税率の引下げ
についてまとめてみました。
普通法人、一般社団法人等(注1)又は人格のない社団等に対する法人税の税率が 23.9%から 23.2% (平成 28 年4月1日から平成 30 年3月 31 日までの間に開始する各事業年度については 23.4%)に 引き下げられました(法 66、81 の 12、143、改正法附則 26、27、29)。 改正前後の税率及びその適用関係は次表のとおりです。
区分 | 課税される所得 | 改正前 | 改正後 | |
平成27年4月1日~ | 平成28年4月1日~ | 平成30年4月1日~ | ||
中小法人 | 年800万円以下 | 15% | 15% | 19% |
年800万円超 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | |
中小法人以外 | 23.9% | 23.4% | 23.2% |
■文責 井手昭仁
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