贈与税の申告の受付がいよいよ、2月1日から始まります。
そこで、贈与税の申告でよくある問い合わせや注意点をまとめてみました。
❖贈与税の申告の時期
平成28年分贈与税の申告
平成29年2月1日(水)から同年3月15日(水)まで
❖申告が必要な人
■原則(暦年課税)
贈与税の申告が必要なのは、平成28年1月1日から平成28年12月31日までに
財産の贈与を受けた人でその財産の合計額が110万円を超える人
■相続時精算課税制度を選択し適用するとき
相続時精算課税制度
贈与者(60歳以上の父母、祖父母)から受贈者(20歳以上の子や孫)に贈与をした場合に、
贈与した財産から複数年に渡り適用できる特別控除額(2,500万円を限度)を控除して、
一律20%の税率で贈与税を計算する制度。将来、贈与者が亡くなったときの相続税の申告で、
贈与した財産は贈与した時の価額で、相続財産に含めて相続税の申告をします。
既に支払った贈与税相当額は、相続税から控除されます。
この制度は贈与者ごとに選択でき、選択した場合には暦年課税に戻すことはできません。
したがって、暦年課税の基礎控除額110万円も使えなくなるので注意が必要です。
■特例
・夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除を適用するとき 「配偶者控除の特例」
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が
行われた場合、贈与税の基礎控除110万円の他に最高2,000万円まで控除できるという特例です。
*贈与税の申告書を提出することにより特例を受けることができます。
・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税を適用するとき「住宅取得資金の非課税」
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、
自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための
金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは贈与税が非課税となります。
*非課税限度額までの金額については下記URLを参照
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm
*贈与税の申告書を提出することにより特例を受けることができます。
❖贈与税の計算
贈与税の計算は、相続時精算課税を適用する場合は、
特定贈与者ごとの贈与税の課税価格から、
次のいずれか低い金額を控除した残額に一律20%を乗じます。
①特別控除額2,500万円(既にこの特別控除額を適用していれば、その合計金額を差し引いた残額)
②特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
相続時精算課税を適用する場合以外は、
その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額
(「非課税の特例」を受ける場合は、非課税限度額を超える部分)から、
特別控除額(配偶者特別控除を受ける場合)、基礎控除額110万円を差し引いた金額に
以下の税率を乗じます。
税率の適用にあたっては、
直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫など)への
贈与については、特例税率を適用し、それ以外の者については、一般税率を適用します。
❖手続きの方法
贈与を受けた人(受贈者)の住所地の所轄税務署に贈与税の申告書とともに、
以下のそれぞれの区分に応じた書類を添付して提出します。
配偶者控除の特例 |
・居住用不動産等の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された |
住宅取得資金の非課税 | ・受贈者の戸籍の謄本 ・所得税に係る合計所得金額を明らかにする書類(源泉徴収票など) |
相続時精算課税 | ・相続時精算課税選択届出書 ・受贈者や贈与者の戸籍の謄本又は抄本 ・受贈者の戸籍の附票の写し ・贈与者の住民票の写し ・贈与者の戸籍の附票の写し |
■文責 井手昭仁
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